ニュートリノ立国 2012 1 1

書名 すごい実験 高校生にもわかる素粒子物理の最前線
著者 多田 将  イースト・プレス

 昨年の3月は、東日本大震災の影響で、
関東でも停電しました(計画停電)。
 その時、思ったことは、
「これほど電力に依存していたとは」ということです。
そして、電力に替わる新しいエネルギー源はないものかと思いました。
今の文明は、あまりにも電気(電子)に依存しすぎているのです。
それは、危険すぎるほど依存しています。
「電子を何か別のもの(素粒子)に替える」という思いが続いていました。
 そこで、この本に出会ったのです。
「100年後には、ニュートリノが電力のように利用できるかもしれない」
99.9%の人が、いや99.9%の科学者が、
「そんな、奇想天外な」と思ったでしょう。
 この本には、このようなエピソードが紹介されています。
ノーベル物理学賞の小柴昌俊先生が、NHKの番組に出演した時に、
NHKのアナウンサーが、こんな恐ろしい質問をしたそうです。
「で、小柴先生。ニュートリノは、いったい何の役に立つのですか」
 この時、著者は「えげつない質問をするなあ」と思いながらも、
小柴先生が、どうやって煙に巻くのか、わくわくしながら観ていたのです。
 すると、小柴先生は、このように回答しました。
「かつて電子が発見されたとき、
それが何かの役に立つか、わかる者は誰一人としていなかった。
 しかし、現在、我々の生活の中で、
電子はなくてはならないものになっている。
 ニュートリノも、今は何の役に立つか、さっぱりわからない。
しかし、何十年後、あるいは何百年後に、
電子と同じように、なくてはならないものになっているに違いない」
 著者によると、日本は、素粒子物理学で世界最先端の国だそうです。
日本のノベール受賞者は、物理学賞が7人、化学賞も7人。
生理学・医学賞が1人、文学賞が2人、平和賞が1人となっています。
 著者が指摘するのは、「ものすごく理科系に偏っていませんか。
これは、世界でも類を見ないんです。
 しかも物理学賞7人のうち、6人が素粒子物理学者なんです。
1人を除いて全員素粒子物理学者。
こんなに偏っているのは日本だけです。
 なぜか。
日本は、素粒子物理学で世界最先端の国だからです」
 いつの日にか、素粒子物理学から、夢の科学技術が生まれてくる。
そう期待しています。











































































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